読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

コンポジション

地味なブログです。お役立ち情報は皆無です。感じたこと、思ったこと、考えたことを、ぽつりぽつりと書いています。受け売りではなく、自分で考えたことを書くようにしています。嘘や誇張もできるだけないように、と思いながら書いています。写真も公開する予定です。

ブランコをこぐ少女

かれこれ15年以上前の話です。雑誌『WIRD 日本語版』にこんなインタビュー記事が掲載されていました。取材に答えていたのは、孫正義氏です。

記者の「なぜあなたは、それほどまでに夢中で仕事をしているのか」という問いかけに、彼はこんな風に答えていました。

「この地球のどこか遠くの国で、見知らぬ女の子が、風に吹かれながらブランコを漕いでいる姿を想像してみてください。僕は、その子のために仕事をしているのです」

古い話の上、雑誌は手元にないので、記憶をたよりに書き起こしました。細かな部分は、違っていると思います。けれども、そのときに感じた「えっ!?」という狐につままれたような感覚は、いまでも、鮮明におぼえています。ビジネス記事にもかかわらず、なぜこの人は、メルヘンを語っているのか、と。

仕事の本質とはなにか、ときかれても「はい、これがそうです」とは、明確には答えられない。同時に仕事とは、基本的につらく、お金のためになにかを犠牲にしている感覚がつきまとう。

けれども「見知らぬだれかのため、まだ見ぬだれかのために、自分は汗をながしているのだ」と考えることができたなら、あら探ししか能のない上司や、人をストレスのはけ口としか思っていない得意先や、飲み会の時だけ元気な同僚(そういう人も必要なんですけどね)、そういった「もういい加減にしてほしい」というわずらわしさから解放されて、芝生の上で風が吹かれているような気分になりませんか。

きれいごと、と言ってしまえば、たしかにそれまでなのですが、知らない人のために、会うかどうかもわからない人のために、なにかを考える。歩く。走る。かがむ。汗をながす。ひとり残ったオフィスで、もくもくとコピーをとって、ホチキスで資料をまとめていく作業も、なんだか「いとおしいもの」「特別なもの」に思えてくる。

半分は、自分に向けてこのエントリーを書きました。今も、きっとどこかでブランコを漕いでいる女の子へ。おやすみなさい。